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建物の外観、内観写真をよりよく撮る!

登録日:2016-07-20

住宅関連の方向けの内容です

今まで何度か工務店様向けに写真講座を開いてきましたが、今回はその講座より大分端折った内容ですが、現場では言いにくかった内容も含め、施工写真の撮り方を説明していきます。

 

たぶん、むっちゃくちゃ長いページになってしまいました。覚悟の上、どうぞよろしくです。

 

 

今一度、写真の大切さを考えていただきたい

今日の前置きは長いので、面倒ならここは読み飛ばしてくださいね。

 

さて、住宅関連のホームページってのは山ほどあって、たいていエンドユーザーはどの会社に問合せしようか迷うわけです。

 

大手の会社では住宅展示場やテレビCMといった大技が使えますが、地場の工務店さんにとっては「人の紹介」「営業マンの地味な努力」「チラシ」そして「ホームページ」といった手法で集客しなければなりません。

 

チラシは建売物件や中古住宅など、実態があるものには力を発揮しますが、注文住宅のようなカタチのないものについては、やはりホームページがとても重要になってくるかと思います。

 

その重要なホームページですが、ぶっちゃけて言いますと、北欧住宅、カフェ家など、明らかに特徴あるサービスは分かりやすいのですが、多くの工務店さんは「たいていのものは出来る(造れる)」といった、自信満々でも実は差別化できていない会社も多いんです。

 

もちろん何かに特化しない限り差別化なんて難しいでしょうから、差別化できてないのが悪ではなく現実だと思います。(ウチの会社も他社と差別化できてないなぁ・・・。)

 

ただ、やはりこれではエンドユーザーもどこに問合せしようか迷いますわな。

 

かといって、在来工法のウンチクや、2×4は密閉率が高いよ!とか、こんな想いで建ててますとか、こんなスタッフいてまんねん!など、今やどこも当たり前にホームページに載っているので、差別化というにはちょっと弱い。うむ~。

 

ではちょっと視点を変えて、エンドユーザーは頭真っ白で各サイトを見にくるでしょうか。
いやいや、何かしら「こんな家が建てたいな」のようなイメージがあるはずです。

 

その欲求を満たすためのページとは、まず施工実績じゃないでしょうか。

 

その中でイメージぴったりの実績があったり、それ以上のものがあれば、そのユーザーにとっては十分差別化できたことになると思います。

 

なので、施工実績の解説文やその写真はかなり頑張っていただきたいんです。

 

今回の説明用の写真ですが、私が撮った物は老人ホームなど一般住宅ではないものが多いため、弊社クライアント様のお写真もお借りしています。

 

 

綺麗な写真、何が違う?

1.ズバリ、レンズ(カメラ)が違います

身もふたもない!と叱られそうですが、特にコンパクトデジカメでなんとかしようと思っている方、要注意です。

 

例えばこの写真

ユーロJスペース名古屋より

広い空間が分かる写真ですね。

 

広々した部屋

こちらも広々した部屋に見えます。

 

で、よくあるコンパクトデジカメで撮影してみたのがこちら。

 

広いカンジに撮れない

このように「広いカンジに撮れない」なんてことはないでしょうか。

 

理由はレンズの焦点距離が違うんです。

焦点距離というのは、ざっくり「写真に写る範囲:画角」を意味したもので、よく35mmとか100mmとか「mm」でその広さを表します。

 

コンパクトデジカメだとズームのところに「W~T」と書いてありますが、この「W」が広い画角で、「T」が狭い(望遠)画角になります。

お使いのカメラのズームを「W」いっぱいにした時、何mmなのかをまず知っておきましょう。

メーカーのサイトや、説明書の「仕様」を見ると「焦点距離」という項目があります。

 

焦点距離

 

赤枠のところ、「35mmフィルム換算:約38mm~114mm」とありますね。

このカメラでは一番広い画角(広角)で38mm程度ということが分かります。

 

このmmの数字が小さいほど広い画が撮れると覚えればよいです。

 

で、とくに室内を撮影するときは、四方が壁ということで思ったほど後ろに下がれないですね。なので、広角で撮れるカメラほど有利になるのです。

 

先ほどの写真は何mmかというと

 

17mm

38mm

 

なるほど!やはり広いレンズで撮られていますね。

 

仕事柄いろいろな写真を見ますが、施工写真(とくに室内)は圧倒的に17mm~21mmくらいを使っているものが多いです。

 

こんなのね、38mmで敵うわけありません!

 

ハッキリ言っちゃいます。

本気で良い施工写真撮りたいなら、17mmが撮れるカメラを買ってください。

(さっきアマゾンで調べたら6万円弱です。腹くくってください!おススメのカメラはあとでちゃんと紹介します)

講習会のときは「買ってください!」とは言いません。というかコンパクトデジカメ持ってる方を前にしてさすがに言えませんわ。なので、どうにかこうにかコンパクトデジカメで撮る方法をお話ししていますが、どうしても無理があるんです。

 

2.時間のかけ方が違う

サッと現場に行って、サッと撮って、サッと帰ってこよう!となっていませんか?

 

写真というのは「光」の反射で出来ているんです。つまり、お日様の高さって重要なんです。夕方しか撮れない写真や、早朝のほうが綺麗に撮れる写真、たとえ室内でも窓がある限り太陽の高さは無視できません。

 

例えばコレ、

 

空の青い写真

すごく空が青くて、爽やかに撮れてますね。24mmで撮影してます。

 

青い空をバックに撮るには条件があります。

 

カメラの位置

1)建物の向き

ちょうど、右のイラストのように空を青く撮るには、太陽を背にした位置からがベストです。

この光の位置を「順光」と言います。

 

つまり、建物の正面が南向きであることが望ましい条件になります。

 

そうは言っても北向きの入り口だってありますね、この場合、建物の後ろに太陽がくる逆光となりますので、空はどれだけ頑張っても白くなってしまいます。

 

逆光の写真

逆光の写真です。

 

建物の向きはどうにもならないですね。他にも電柱や電線が邪魔だったりと、撮れる角度ってそんなにバリエーションがないことが多いです。

図面と地図を併せて確認すると、撮影する角度を変えたり、夕方になればやや太陽が背になるなど、どうにか撮れる時間があったりしますので、まずは現場を下調べしてから撮影するとよいでしょう。

 

2.青い空を撮影するなら乾燥した朝

なんとも難しい条件ですね。これは参考までに。
まず午前中がよいのは、昼になると車の排気ガス等で空がうっすらと濁ってきます。

また、湿度が高いのも濁りの原因になります。細かいこというと、晴れが続いているような日も空気中のチリなどが多かったりします。

ベストなのは、雨降り後の乾燥した翌朝の北の空!これは間違いない!

写真をカメラマンに依頼しても、さすがにこのタイミングがジャスト撮影日とならないでしょうから、ぜひご自身で試してみてください。むっちゃ青く撮れますよ!

 

ほかにもこういう夕景パターン

 

夕景写真

住宅ではありませんが、室内の明るさと外観がちょうど写りこむタイミングです。

これも、外が明るすぎてもダメ、暗すぎてもダメで、日が落ちて星が出るくらいまでのほんの20分(季節による)程度が勝負です。

 

そして、内観

 

内観写真

 

普通に見えますが、じつは窓の外の景色と室内を両立させるのは難しいんです。

 

ラチチュード

 

これは室内の明るさと、外の明るさがあまりにも違うので、外にあるはずの緑は白く飛んでいます。

 

これをきちんと説明するには「ダイナミックレンジ」や「ラチチュード」というものを理解する必要があるんですが、ざっくりと端折ります。

 

カメラは人の目ほど「明るいー暗い」の階調が広くないので、明るさに差がありすぎる画は見たままに撮れないと覚えておいてください。

 

では、先ほどの背景が写っていた写真はどうしていたのか。

答えは逆光にならない時間を選んで、室内に大きめの外付けストロボを焚いて、窓の外との明るさの差を縮めています。

 

ストロボがない場合は、ちょっと夕方近くまで待って空がやや暗くなった時を見計らって撮影すると、綺麗に撮れます。もちろん、夜は逆にダメです。

 

このように、太陽の高さで撮影できる写真は変わってきますので、しっかり時間をかけて納得の一枚を狙うことが大切です。

 

3.カメラの設定・小道具が違う

たいてい失敗した写真を見ると、カメラ任せ(いわゆるオート)で撮られていることが多いんです。

カメラの設定となると、露出とか感度とか小難しいコト覚えなければならないようですが、なるべくカンタンにご説明していきます。

 

カメラの間違いを正す?

まずは失敗例

ちたじゅう様が使っていいよと快諾していただけたので、存分に失敗写真をお見せします。

露出アンダー

むむむ、白いはずの室内が暗いですね!オートで撮影したものです。

 

このように、撮影した写真が「思ったより暗い」「思ったより明るすぎる」といったコトはみなさんも経験があるのではないでしょうか。

 

それでは、なんでこんな事が起こるのでしょう。

 

カメラは写真と撮る時に「ちょうどいい明るさ」になるよう自動で光の量を調整します。

 

露出

どれがちょうどいい明るさでしょう、もちろん真ん中ですね。

 

ところが、カメラは結構バカなところがあって、下のような場合、

明るい?暗い?

と判断します。これ、実は

白、黒

明るいのではなく「白」、暗いのではなく「黒」だったりします。

 

なので、全体的に黒が多い背景、白が多い背景の場合こういう間違いを起こします。

測光ミス

 

これがカメラ任せ(オート)による失敗の一番多いパターンです。

 

では、この場合どうやって撮ればいいかというと、「露出補正」という操作を行います。

下のような「+/-」のマークのついたボタンかあると思います。

(カメラによって異なりますのでマニュアルを見てください)

露出補正

この露出補正はオートでは使えない場合もあるので、とりあえずモードを「Aモード」、カメラによっては「Avモード」にしてください。

で、まず一枚撮影してみて、暗い過ぎる、明るすぎる場合、露出補正をオンにします。

 

露出補正をオンにすると、右のように目盛りが出てきますね。

この目盛りを+へ動かすと、今撮った写真より明るくなります。

逆に-へ動かすと、暗くなります。

EV

これを調整すると、先ほどの写真がこうなります。

 

補正後の写真

 

これね、覚えておくとすごい便利なので、ぜひ色々試してみてください。

ついでに説明しておきますと、このように「ちょうどいい明るさ」を適正露出と言います。

 

ストロボは使わない

内臓ストロボは使わないようにしましょう。

なぜなら、光が真っ直ぐベタに当たるのでイマイチな写真になります。

内臓ストロボで撮った写真なんて、ほとんどいいのないでしょ?

なので、ストロボ(フラッシュ)は禁止モードにしてください。

 

フラッシュを禁止にすると、今度は室内で結構手ブレが起こったりします。

そういう時は三脚を使って撮影します。

というか、外観にしろ内観にしろ全て三脚を使って撮影してください。軽いカメラになるほど、シャッターを押す自分の指でブレが起きやすいんです。

また、三脚で撮る位置を固定しておけば、露出補正の操作もしやすいですし、ちょっとテーブルの位置を直しに動いたりと、じっくりと画を考えることができます。

 

で、三脚選びはそれほど高いものじゃなくてよいのですが、高さが低く(床から30cm~40cm程度)できるものを選んで置くと、いろいろ使えて便利です。

三脚の写真はアマゾンでいろいろ見たところ使い勝手よさそうなアルミ合金4段式の三脚です。

 

その他の小道具

三脚はマストとして、もう一つ持っておくと便利なのは踏み台です。

お風呂場などは広いレンズをもってしても、なかなか画面に納まってくれません。

そういう時は踏み台を使って「高い位置」から撮ることで、解決することがあります。(この場合は三脚なしの手持ち)

 

浴室

この写真は素材です。すみません、私の持ってるのが機械浴室ばっかりで・・・

 

その他の設定

一般的なカメラ講座ですと、シャッタースピードや絞り、ISO感度を説明して「露出」っていうものを理解する流れになるんですが、だいたいここで寝落ちする人が出てくるんです。

なので、「住宅関連の方の施工写真に限り」以下の設定でまず撮ってください。

 

1)モード:AモードまたはAvモード

2)F値(絞り):8~11

3)ISO:100~400

4)ストロボ:発光禁止

5)ホワイトバランス:オート

※設定順

 

そして、17mm~21mmの広いレンズで、三脚を使って、明るさを見ながら露出補正を行えば、相当綺麗に撮れるはずです!

 

なるべく、水平に撮る

もう一つ注意点としては、写真は見上げるように撮影すると、上が広がった画になります。(左)

建物の写真ではこういう斜めった写真は、特に意図した構図(先程の浴室とか)でない限り基本的にダメと言われますので、壁のラインが縦にまっすぐになるように、カメラは水平にして撮ることが多いです。

(右下は後から補正したものです。)

 

プロはシフトレンズという歪みが補正できる高価なレンズを使いますが、高いし使い方もカンタンではないので、ホームページで使用する程度ならフォトショップ等のグラフィックソフトで補正すれば良いかと思います。

物件のアピールポイントを再確認してから撮影

写真撮影でもっとも大事なのは、「何を撮るかを事前に決めておく」ことです。

設計者の思うアピールポイントや、営業マン視点での"お客さんはここを気にするだろう"など、見せたいものはただ外観、内観だけではないわけです。

 

床下収納

お手入れしやすい外構だとか、多目的スリープが普通より多いとか、床下収納が広いとか・・そういうアピールポイントを書き出して撮影に行くことで、お客さんが見たい部分をしっかりカバーできるわけです。

 

そして、その撮ってきた写真にしっかりと解説文をつけて、ホームページに載せることが大切です。

右の例で言うなら「床下収納も広いです」じゃなくて、「床下収納には1リットルのペットボトルが縦に10本納まる広さです」とか、よりイメージしやすい解説が欲しいですね。

 

ホームページを運営する上で、お客さんに伝える手段は「写真と文章」の2つ。

いくらアニメーションが動いても、システムが素晴らしくても、写真も文章もなければ空箱と一緒です。

 

大変、面倒です、地味です、正直つらいです。が、その事例が後々他社との差別化になると思ってやるしかありません。自分で撮影・文章を書く分にはお金がかからないわけなので、これを持続するように頑張っていただきたいと思います。

 

最後に

カメラの設定は、Aモード/Avモードのようにメーカー毎に呼び名が違ったりしますので、この記事の用語がない場合、同じような機能があるはずなので探してみてください。

とにかくオートで撮ることから一歩前に出ましょう!

 


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