サポート詐欺対策のための拡張機能
登録日:2023-12-30
サポート詐欺とは、偽の警告画面を表示させて、あたかもご自身のパソコンやスマートフォンがウィルスにかかったと思わせて金銭をだまし取る詐欺で、現在非常に被害が増えています。
とくに高齢者が騙されるケースが多く、その被害額は全国で2021年1月から2023年8月までの約2年半で、なんと4億3000万円というとんでもない額になっています。
今回はその「サポート詐欺」についての注意点と、対策を絞り出しましたので、解説したいと思います。 前半は「サポート詐欺」をよく知らない方のための内容となっていますので、お急ぎの方は、後半の「問答無用に閉じるボタン」から御覧ください。
サポート詐欺とはどういったものか?
よくニュースには「突然パソコンの画面にウィルスにかかったという警告画面が!」と書いてあったりしますが、百聞は一見に如かずということで、まずはこちらを御覧ください。
(この動画は実際にある状況を模擬で作成したものです。)
検索エンジンの結果や広告をクリックしただけで、なんだか恐ろしい画面が開いてしまいました。
そして、このサポート詐欺はここから以下のような流れ(一例)になります。
STEP 1
サポート詐欺が出現!
びっくりしたおっちゃんが画面にある電話番号にかけると・・・
STEP 2
オペレーターと名乗る人物が出て、修正用のソフト(有償)をダウンロードするよう促されまた。
実は、このソフトはオペレーターがおっちゃんのパソコンを遠隔操作をするためのものなんです。
STEP 3
それを知らないおっちゃんは、この修正用ソフトの支払いのため、ネットバンキングを開くよう促されました。
そして、金額を入力している途中で、オペレーターから遠隔操作で金額に「0」を2つくらい足され勝手に決済されてしまいました。
おしまい。
ページを閉じれば良いだけじゃないの?
そうなんです、「閉じればいいだけ」なんです、なんですが、なかなか閉じられない仕掛けがそこにあるのです。
この閉じられない仕掛けのせいで、つい本当に感染してしまったのでは?と思わせる犯罪者との心理戦なのです。
では、その閉じられない仕掛けを説明します。
仕掛け1:全画面表示にさせる。
ホームページを見る時は、Google Chrome(グーグル・クローム)や、Microsoft Edge(マイクロソフト・エッジ)というようなブラウザと呼ばれるホームページ閲覧用のソフトを使います。
先程の動画を注意してみると分かりますが、最初に変な質問のあるページが出ましたが、この時点ではブラウザの閉じるボタンが出ていることが分かります。
この画面の時に閉じてしまえば、それで終了です。
ところが、人は画面上の「はい」をつい押してしまうんです。すると以下のように怪しい画面がモニタ全体に広がって「閉じるボタン」が隠されてしまいます。
こうなると、最初の心理戦はあなたの負けです。
閉じるボタンはない、スピーカーからはピーピー音がなって、何やら怪しいアナウンスが流れてきます。
仕掛け2:キーボードが効かない?
閉じるボタンがないと、人はなにかキーボートを押してその場を脱出しようとしますが、この時点で既にキーボードも(擬似的に)無効にされています。
つまり、一瞬、閉じることができなくなった!と思わせるわけです。
こうなると、慣れない人はパニクります。
ここでパニクったら心理戦2戦目もあなたの負けです。
仕掛け3:マウスがうまく動かない?
ボタンがない、キーボードが効かない!すると、人はもう一度マウスを持って画面をグリグリさせるでしょう。ところが、マウスも思ったように動かない、表示されないなどの仕掛けがされています。
かなり追い詰められた状態ですね!
この辺りでつい、電話してしまおうと思う人が出てくるわけです。
電話をしたらあなたの負けです!!
要は詐欺師の陽動作戦に騙されず、
閉じればいいんですよ!閉じれば!
ちなみに、このサポート詐欺の画面はいろいろな種類があるので、上記は一例ということで宜しくお願い致します。とは言ってもほとんどのサポート詐欺サイトは閉じれば終わりです。
問答無用に閉じるボタン
そこで、とにかく「閉じる」ためだけに特化した、クローム拡張機能※を作りました。
このサポート詐欺画面で使われるトリックは全てWEBに関する技術を悪用したものなので、それに被せるように画面左下に「閉じるボタン」を表示させます。
開いたページの左下に常に「閉じるボタン」が出続けるだけのGoogle Chrome拡張機能です。
サポート詐欺サイトで勝手に全画面表示になっても、「閉じるボタン」が出続けますので、それをクリックすれば閉じることができます。
※クローム拡張機能とは、グーグルクロームで標準にはない便利な機能を後から追加するもので、沢山の種類の中から自分が使いたい機能を追加(インストール)することができます。
但し、パソコンのみとなります。
Microsoft Edgeでも上記はインストールすることができますので、ぜひ試してみてください。
あ!重要なことですが、完全無料です。
コットンウール的CSR活動とも言うべきでしょうか。。
インストールしたらここで試してみましょう!
先日、IPAが「偽セキュリティ警告(サポート詐欺)画面の閉じ方体験サイト」というページを公開しました。
説明がタラタラと私以上に長いんで、すぐに試したい人はこちら。
(脅かすだけのものなので無害です)
この拡張機能が入っていると、ちゃんと「問答無用に閉じる」ボタンで瞬殺できるかと思います。
IPAの長ったらしい説明よりカンタンです。
だいたいなんでサポート詐欺が出てくる?
こちらは以前「古いリンクと詐欺サイト」というコラムでも書きましたが、使わなくなって捨てたアドレスが、悪い輩に買われて悪用されるパターンや、最近話題なのはGoogleの広告審査がザルで、広告をクリックしたらそこはサポート詐欺だったというケースです。
このサイトに詳しく書いてあるので、興味のある方はぜひ
サポート詐欺をGoogle広告が拡散(外部サイトに飛びます)
もうね、不可避ですよ。
最後に
セキュリティ記事というのは問題提議ばっかりなんで、なにかもう一歩進んだことをしたいと思って作りました。
仕事の合間に急いで作ったものなので、不具合があればメールにてお知らせください。
ときどき、サポート詐欺サイトの中にもしつこいのがいて、閉じても閉じてもWindowsの通知欄にウィルス感染したとか出てくるものも確認していますが、そちらはもうちょっとややこしいタイプなんで、その時はこちらの拡張機能を併用してみてください。
尚、IPAが提唱する正規の閉じ方を解説した動画も貼っておきます。
「ESCキー長押し + ブラウザの閉じる」という方法です。
(この動画の制作にも関わらせていただきました。)