ザラザラ感のある写真の画像加工
登録日:2015-08-02
雰囲気のいい粗い写真
デジカメ世代の人でも、フィルム写真のザラザラした質感が好きな方も多いのではないでしょうか。
Instagramなんかも非常にフィルターがいろいろあって、ポラロイド風やレトロなカンジもカンタンに作れてしまいますね。
今回は実際にフィルムで撮ったザラザラ感のある写真を見ながら、ザラザラ感のポイントをいくつかご紹介します。
スマホじゃなくてPCで見たほうが分かりやすいかな・・・
スマホの人は横向きにして画像を大きく見てね。
まずはザラザラ感のある写真(フィルム)を見てみよう
まずは、カラー写真から。
ちょっと気だるい画にはなりますね。
次はモノクロ
モノクロはカラーほどザラザラが目立たないように感じますが、ハイキーな写真にすると生々しさがなくなるというか、非常に合うんだよなぁ。
ザラザラ感の正体
まずは「ザラザラした質感の正体」を超カンタンに説明します。
フィルム写真というのは、ご存知の通りフィルムに塗られた乳剤にレンズからの光が当たって画が記録されます。ざっくり言って、この乳剤に含まれる粒子がザラザラ感の正体になるわけです。
そして、この粒子の大きさはフィルムの感度によって異なります。
感度というのは、光の量に対する再現力とでも言いましょうか、少ない光で写せることを高感度、光がたくさん必要な場合は低感度となります。
高感度ほど粒子が大きいので、ザラザラ感が強くなります。
右の写真でフィルムに「400」って書いてありますね、これが感度を表す数字でISOという表記になります。お使いのデジカメにもISOってありますよね!それが感度です。
ISO1600以上がだいたい高感度と言われます。
ちなみに、食べ物やグラビアなど「キレイな質感」が求められる写真は粒子の細かい低感度(ISO50や100など)、夜のライブなど少ない光で撮影しなければならない場合に高感度(ISO1600以上)というのが、一般的な使い分けです。
イマドキのデジカメはISOが12800とかとんでもない超高感度も撮れたりしますね。
フィルム写真のザラザラを拡大してみる!
ホームページ用に画像を載せるにはかなり縮尺しなければならず、このザラザラしたカンジが今ひとつわかりにくいので、ここでは、フィルム写真を拡大してどのようなザラザラになっているかをご覧ください。
カラー写真
ISO1600です。
もうちょっと拡大しましょう。
もっと、拡大しちゃいましょう
いいカンジでザラザラしてますね。
次はフィルムをスキャンしたものと、印画紙にプリントしたものの比較
(同じくISO1600)
これも拡大しましょう。
もっといきましょう
フィルムの写真というのは、印画紙にプリントして見ることが一般的で、印画紙の種類によってもザラザラ感が強くなることがあります。
また、グラデーションの部分ほど、このザラザラ感が目立ちますね。
ついでに、低感度フィルムのISO100との比較も見てみましょう
なるべく比較しやすいようにグラデーションの多い写真にしました。
拡大してみます。
これだけ差があるんですね!
さて、モノクロのザラザラ感
まずはコチラ。(ISO1600)
こちらも拡大してみます。
もっと!
こんなカンジです。
で、撮影時に赤いフィルターをつけたモノクロ写真(ISO1600)
キョーレツにザラザラしてますね。はい、拡大。
さらに拡大
ここまでくると、ザラザラというよりガサガサですね。
デジカメでISO1600?
高感度フィルムでザラザラ感が出るのはよ~くわかった。
ならばデジカメでISO1600で撮ればいいんじゃないか?
と思われることでしょう。
デジカメも高感度になるほど、ノイズが入りますね。
ただ間違いではないのですが、昨今のデジカメの場合ISO1600で撮影しても非常にキメの細かい写真になってしまうことと、センサーのノイズとフィルムのザラザラは微妙に雰囲気が違ってきます。
デジカメ一眼で撮った ISO1600の写真
全然キレイですね。
拡大してます
う~ん、ノイズは目立たないです。
やはり、フィルムのザラザラ感は出ないですね~
そうなると、デジカメの場合は後加工が必要になりそうです。
で、フォトショップを使って加工してみます。
一応、私の経験的に、画像加工するポイントを。
1)高感度フィルムは経験的にそんなに色が鮮やかに出てくれない
2)コントラストの強い部分より、グラデーション部分の方がザラザラが目立つ
3)フィルムはホワイトバランスがないので、光源の色の影響を大いに受ける
4)感度によって粒子の大きさが異なる
というところでしょうか。
早速やってみましょう。
まずは今一度元の画像
彩度を下げる
高感度フィルムは色が鮮やかではないので、「彩度」をやや下げます。
ノイズを加える
こちらは画面プレビューを見ながら好みです、好み!
ちょっと足りないかな?くらいが良かったりします。
モノクロの場合は「グレースケールノイズ」を使いましょう。
カラー画像の場合はノイズの代わりに「粒状」でもいいかもしれません。
コントラストをあげる
ノイズを加えると全体的にノイズが乗るので、コントラストをいじって明るい部分のノイズをやや目立たなくします。
コントラストをあげると全体のイメージが明るくなるので、明るさをやや下げます。
色を調整する
フィルムの場合、ホワイトバランスはありませんので、水銀灯の明かりの色(若干緑と黄色)を強くします。
つまり、太陽光以外の光でとると、その光源の色が混じるわけです。
大まかに言うと
・白熱灯、ハロゲン灯などは、やや赤みと黄色を強くします。
・蛍光灯、水銀灯は、やや緑と黄色を強くします。
撮影時にホワイトバランスをオートじゃなく、「太陽光」に設定して撮るといいかもしれませんね。
尚、プロのカメラマンは、この色かぶりをプロラボで補正したり、撮影時にフィルターを装着して補正したりしますが、今回は一般の人のスナップ写真という意味で説明しています。
ひとまず完了
大分雰囲気出てきましたね。基本的にはこれで完了です。
最後に仕上げ
個人的には写真の周辺光量をやや落としたほうが味が出るかと。。
(超微妙ですが・・・)
あと、ポイントは使用するサイズに縮尺してから加工したほうがいいと思います。
大きい画像で加工してからあとで縮尺すると、ノイズの入り具合がイメージと変わってくることがあって、イマイチでした。
ザラザラ写真にしたい!という人へ。
思い通りのザラザラ写真にするには、ちょっとだけフィルムカメラを覚えるとグッと仕上がりがよくなります。
あとフィルムの写真をいっぱい見ることも当然大切ですね。
写真集のひとつやふたつは買っておきたいものです。
また、デジカメの場合は後加工が必須ですが、なるべく撮影時にも高感度で撮っておいたほうが気持ち程度ですが、いいような気がします。
フィルムもそうですが、高感度で日中撮影しようとすると光が強すぎるので、レンズにNDフィルターという光量を落とすフィルターがあると便利です。
(今回の写真もNDフィルターつけてます。モノクロのガサガサの写真はR-1フィルターといって、コントラストを高くするフィルターをつけています)
あ、そうそう、忘れるところだった。
今日はフォトショップ(バージョンの古いの)で説明しましたが、フォトショップエレメントという初心者向けのソフトでも同様の加工ができます。
フォトショップエレメントくらいは、写真好きなら持っておいたほうが便利ですよ。
それと、カラー写真をいいカンジのモノクロにしたい!と言う人はこちらもぜひご覧ください。
では、今日はこのへんで。