ホームーページの制作費はなぜ高い
登録日:2023-01-07
数十万円は当たり前? 高いと100万200万!?
ホームページの制作費は2010年頃までは、10ページ程度のコーポレートサイトで30万~40万円くらいが相場でした。
それから、徐々に上がっていって2023年現在は相場としては50~60万程度と、ここ10年で1.5倍程度になっています。
また、WEB集客(WEBマーケティング)に力を入れたサイトになると、私が聞いた所では10ページ程度で250万円という会社もあるそうです。
スマホ対応前のホームページをリニューアルしようとした時には、かなり驚かれることでしょう。
今回はホームページ制作費について、きちんと説明しようと思います。
※費用感は弊社が所在する愛知県(名古屋市)でのお話となりますので、ご了承下さい。
ホームページの制作費が高くなった主な3つの理由
私は話が長くりがちなので、サッサと進めていきましょう。
一般の方にもわかり易いよう、技術的な細かい話はザックリ切りますのでご了承下さい。
スマートフォンをはじめ、パソコンもモニターのサイズが増えた
まずはコレですね。
スマホが登場する2009年ころまでは、ホームページといえば基本的にパソコン一択(一部ガラケー併用もありましたが)
しかも、モニタも大きさは違えど解像度※はXGA(横1024px 縦768px)で設計すれば、ほぼほぼ間違いナシでしたので、今考えたらとても楽でした。
つまり、ホームページを作る際のサイズは基本的に1種類で良かったわけです。
これが以下のように増えます。
もちろん、もっともっと種類が多いのですが、一般的に普及している機械の主なもので説明しています。(弊社のサイトにアクセスされた解像度をみても100タイプ以上の組み合わせがありました。)
見てわかる通り、対応する画面の幅(解像度)が猛烈に増えたため、その工数分値段が高くなりました。
リキッドデザイン / レスポンシブデザイン
解像度がそんなに多いと全てに対応するのは不可能?と思われる方もいらっしゃると思いますが、そこで現在は、どの解像度でも画面が崩れないよう比率(%)でレイアウトを計算してきます。
なので、以下のように画面の幅が変わっても伸び縮みします。(リキッドデザイン)
(愛知建築士会様のサイトより)
スマホの場合はある一定の画面サイズ以下になると、自動でレイアウト自体が変更します。(レスポンシブデザイン)
(愛知県交流居住センター様のサイトより)
コードの書き方が複雑になり、開発時に様々なサイズでテストを行う手間が、ホームページ制作費高騰の理由のひとつです。
モニタサイズと解像度※
解像度という言葉が出てきました。
21インチとか30インチとか見た目の大きさで測るモニタのサイズは皆さんご存知の通りですが、解像度は光の点(ドット)の密度になります。
同じ21インチのモニターでも横に1920個の光の点(ドット)があるものはFHD(フルハイビジョン)とか2Kと呼ばれ、1366個の点のものはFWXGA(フルワイドXGA)と呼ばれます。
ホームページ制作では、このモニタサイズより解像度が重要になってくるのです。
標準的に使用される技が増えた
最近のホームページは、ボタンをクリックする時にピピッとアニメーションしたり、画面をスクロールしていくとコンテンツがふわっと出てくるような、ホームページにとって「動き」が当たり前になってきました。
このようなアニメーションも、専用ソフトでサクサク作れると思われるかもしれませんが、実は
以下のようなコードを数百行も人の手でタイピングしていくわけです。
gsap.set('.sldx2 h3,.block-right', {autoAlpha: 0, x: -100});
gsap.to('.sldx2 h3,.block-right', { x: 0, autoAlpha: 1,
scrollTrigger: { trigger: '.block5', start: 'top 50%', end: 'top 30%', markers: false, scrub: 1, },
stagger: {
from: "start", //左からアニメーション
amount: 0.5 //0.1秒すらしてアニメーション
}
} );
(アニメーションの書き方は様々な方法があり、上記はほんのほんの一例です。)
こちらはとても複雑なアニメーションを導入した例です。
当然ながら、動きが複雑になるほど手間がかかりますので高額になります。
その他にも、CMSが高度になったり、セキュリティへの配慮が増えたりと、標準的に使用される技術が増えたことも、制作費高騰の一つでしょう。
参考:CMSとは
WEB集客のハードルが上がった
ホームページから集客を本腰で行う場合、以前から狙ったキーワードで検索エンジンの上位に表示されるよう施策するSEOは重要でした。
そんな中、検索エンジンにより上に載せようと悪知恵を働かせる輩も多く、Googleもそれに対抗するため上位表示のアルゴリズム(評価の仕方)もどんどんと難しくなって行きます。
さらに、以前は検索上位のライバルと言えば同業他社のみだったわけですが、ここ数年いわゆるマッチングサイト、比較サイト、まとめサイトなども検索結果に乱入するようになりました。
(私個人的にはこういうのをひっくるめて集客代行サイトと呼んでます。)
彼らのビジネスは、様々なジャンルの会社をピックアップ&比較したページを量産して、エンドユーザーからのお問い合わせを一括で受けて、それらの会社にそのお問い合わせを売るビジネスです。
リクルートやエイチームさんなんかも昔からやってますが、そういった集客代行が非常に増えてきました。
参考:名古屋市で実力のあるホームページ制作会社まとめのまとめ
つまり「お問い合わせを取るのが本業」となるため、そうとう手強い相手になってきます。
そのような環境でWEB集客を狙うわけですので、SEOはもちろん、SNSを活用したり、広告を併用したりとどのような流入が最適かといった調査、プランニングが必要となり、戦略の立て方もどこまで掘り下げるかによって、費用的に松竹梅となるわけです。
ホームページ制作費はほとんど人件費
多くのホームページ制作会社は分業でです。
1.デザイナー(デザインを作る)
2.コーダー(デザインをHTMLやCSSといったコードに書き換える)
3.ディレクター(いわゆる監督さん)
4.フロントエンジニア(画面上の複雑な動きを作ったりする)
5.プログラマー(CMSや独自機能の開発など)
6.営業(お客さまとの窓口)
といった職種が一般的な制作チームです。
※フリーランスや弊社のような一人親方の会社は上記を基本すべて一人でこなす大工のような職人です。
20代独身、手取り20万円の社員の給料は会社としていくら必要?
ホームページの制作費はほとんどが人件費ということで、一人のスタッフが1日でできる作業量が基本単価となります。
さて、ここで単価についてお話します。細かい計算が面倒な方はこちら
例えば、20代独身、手取り20万円くらいの新人レベルの人にかかる費用を大まかに計算してみます。
この場合、会社としてはおおよそ25万円の支給額になりますね。
本人の支給額から差っ引かれるもの | 数字は大まかです。 |
---|---|
厚生年金・社会保険(本人負担分) | 約37,000円 |
市民税・源泉所得税 | 約5,000円~6,000円 |
交通費 | 約10,000円(想定) |
この他に会社として以下の費用が必要になります。
項目 | 数字は大まかです |
---|---|
厚生年金・社会保険(会社負担分) | 約37,000円 |
ボーナスを払うための貯金 (給料2ヶ月分が年2回として) |
約84,000円 |
さて、いくらでしょう? おおよそ370,000円かかります。
但し、これだけでは会社としての利益はゼロです。
このままでは事務所の家賃や電気代は出ませんので、給料レベルの30%くらいは利益を出すよう頑張っていただきましょう。
つまり、新人さん一人1ヶ月に必要な売上はおおよそ480,000円 となるわけです。
これを1ヶ月の実労日(年間休日120日)で割ってみると、
480,000円 / 20日(1ヶ月) = ¥24,000
となります。
新人さんで 1日当たり 24,000円が単価となります。
(一人前にできる人で、おおよそ35,000円程度になります)
※この計算は厳密ではないですが、どの会社でも正社員であればおおよそ同じだと思います。
※利益算出率は弊社独自のものです。当然もっと高い会社もいっぱいあります。
10ページ程度のコーポレートサイトにかかる工数
会社によりかける日数は異なりますが、一人前にできる人のおおよそという数値です。
企画・設計
ヒヤリングから競合調査、企画、設計まで:2日程度
デザイン制作
写真素材の準備、原稿の準備を経てデザイン制作:4日程度
コーディング作業
アニメーションも少なめでシンプルなもので:4日程度
プログラミング作業
CMS(ニュース更新程度)の設置、お問い合わせフォームの設置、アニメーション等の設置:2~3日程度
最終テスト
各デバイスで実際の動作テスト・調整:1日程度
営業のやりとり
制作過程でお役さまとやりとりを行う営業に要する時間:4日程度
トータル 18日
一人当たりの単価 35,000円で
ホームページの制作費は
630,000円となります。
最後に
会社が健康で長く存続するためには、ホワイト企業でありつつきちんと利益を出す必要があります。
実際、今回の利益分では仕事がちょっと薄くなればすぐに会社が飛ぶレベルです。
なので、人数を抱えた会社は今回の計算より単価が高くなると思いますし、それは仕方がないことでしょう。
昔はホームページ制作会社と言えばブラック企業のイメージでしたが、かなり淘汰されてきたのではないかと思います。
私も人の親なので、自分の子供がブラック企業で疲弊するのを想像するだけで腹が経ちます。(まだ働く年齢ではありませんが。。)
つまり、10ページ程度で60万の制作費は決して暴利ではないことがご理解いただければと思います。
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